日本エレクトロヒートセンター

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産業用電気加熱への応用

産業用電気加熱への応用

  抵抗加熱は、物質(物体)に直接電気を流してジュール熱を発生させることで加熱するため投入電力が加熱に直接利用できるという特長があります。また、高周波電源のような特別な電源を必要としません。従って、効率良く、比較的安価な装置で加熱することができる方法と言えます。
この“ジュール熱”の発生原理を利用し、間接抵抗加熱、媒体抵抗加熱、直接抵抗加熱ができるため、これらを使い分けることで被加熱物の材質や雰囲気を選ばず加熱することができます。
それぞれの方式の特徴を以下に示します
 

a.間接抵抗加熱
抵抗発熱体に電流を流しそのジュール熱を利用して間接的に被加熱物を加熱できます。抵抗体に発生する熱を、対流、放射、伝導あるいはこれらの組合せによって被加熱物に伝える方法です。
被加熱物の材質を問いませんし、様々な材質・形状の抵抗体を用いることができるため、どんな形状の被加熱物も加熱できます。
 

b.媒体抵抗加熱
広い意味の間接抵抗加熱ですが、直接通電加熱によって高温に加熱された伝熱媒体中に被加熱物を浸漬して加熱します。
この方式は、高温酸化、脱炭が避けられること、急速、均一な加熱ができること、被加熱物の炉内への出し入れが簡単にできることなどの特徴があります。
 
 

c.直接抵抗加熱
導電性被加熱物に直接通電し、被加熱物の抵抗により発生するジュール熱によって被加熱物を直接加熱できます。
内部から均一に加熱でき、加熱が被加熱物だけに限られるので、加熱効率が高く、高温も得られる等の特徴があります。その反面、被加熱物が適当な抵抗を有することが必要で、通電部の構成から用途に制約を受ける欠点があります。
 
 
主な適用事例
a. 抵抗加熱炉(乾燥、熱処理、焼成、溶解)<図1>

断熱壁で囲んだ炉の中に発熱体(ヒーター)を置いて発熱させることで、炉の中の被加熱物を放射や対流で加熱します。間接抵抗加熱の適用例です。

 

 
b. 黒鉛化炉<図2>

黒鉛材は焼成した炭素製品を2600~3000℃に加熱して結晶化させたものです。
 炉体は耐火煉瓦で、両端からターミナル電極を差し込み、炉内に装荷されている充填コークス粉と炭素焼成品に通電して加熱します。直接抵抗加熱の適用例ですが、コークス粉の方がかなり抵抗が高く発熱体となるので、媒体抵抗加熱の側面もあります。

 

 
c.液体食品連続加熱殺菌装置<図3>

絶縁された管の中を流れる液体状の食材に直接通電することで加熱し、食材を殺菌します。被加熱物に直接通電して加熱する、直接抵抗加熱の適用例です。