日本エレクトロヒートセンター

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ヒートポンプの原理

ヒートポンプの原理

ヒートポンプの構成は、図のように《圧縮機》・《凝縮器》・《膨張弁》・《蒸発器》とこれらを結ぶ配管から成っており、この配管の中を、非常に低い温度でも蒸発する特性を持つ冷媒が循環しています。

 

冷媒は蒸発器で空気などの熱源から熱を吸収し、蒸発して圧縮機に吸い込まれ、高温・高圧のガスに圧縮されて凝縮器に送られます。ここで冷媒は熱を放出して液体になり、さらに膨張弁で減圧されて蒸発器に戻ります。

 

この際に使用する電気は、熱エネルギーとしてではなく、動力源としてのみ使用されるため、消費電力の約3〜6倍の熱を移動でき、これがランニングコストを低減させる最も大きな要因となっています。

 

 

  冷媒
  熱を運ぶ役目をする媒体のことで、圧力や温度により液体または気体に状態を変化させ、熱の移動を行います。
膨張弁
  冷媒を急激に膨張させ、低温低圧にさせる働きをします。
圧縮機
  冷媒を圧縮し、高温高圧にして送り出す機械で容積式や遠心式があります。
蒸発器
  外部から熱を吸収して冷媒を蒸発させる働きをする熱交換器です。
凝縮器
  冷媒ガスを液化させて熱を外部へ放出する働きをする熱交換器です。
四方弁
  冷媒の流れる方向を切り替えることにより、冷却・加熱の機能を選択できます。

 

 

 

1台で加熱・冷却・除湿の3つの機能をこなすヒートポンプは次のようなしくみになっています。

 

加熱
 

圧縮機から出た冷媒は凝縮器で凝縮し、気体から液体に変わります。この凝縮の際に冷媒は熱を放出して加熱する働きをします。この熱量は動力として使われた熱量と蒸発器で吸収した熱量の合計となります。

 

 

 

 

 

 

 

冷却
 

膨張弁から出た冷媒は蒸発器で蒸発し、液体から気体に変わります。この蒸発の際に冷媒は熱を吸収し、冷却する働きをします。また、ここで吸収した熱は凝縮器で外部に放出されます。

 

 

 

 

 

 

 

蒸発
 

蒸発器で冷却する際、空気中の水蒸気は蒸発器に結露します。この水滴を集め、屋外へ排出することにより、除湿を行います。そして、冷却除湿された空気は凝縮器で冷媒の凝縮熱を利用して再加熱され、これにより低温除湿乾燥が行えます。

 

 

 

 

 

 

冷媒動向について

 冷凍機・空調機に使用される冷媒は、冷媒能力の高さと不燃で人に無害という安全性から、永らくフロン冷媒が採用されてきており、用途によりCFC(クロロフルオロカーボン)やHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)等が使い分けられてきました。
しかし、1987年のモントリオール議定書でオゾン層を破壊する度合いの大きいCFCが規制され、1996年には全廃となりました。また、HCFCも小さいながらODP(Ozone Depletion Potential:オゾン破壊係数)がゼロでないことから1996年以降段階的に削減の対象になり、補充用も含めて2030年までに全廃とされています。
現在わが国では、HCFCから塩素を除いたHFC(ハイドロフルオロカーボン)への移行がほぼ終了しています。HFCはODPがゼロであり代替冷媒と呼ばれていますが、GWP(Global Warming Potential:地球温暖化係数)が大きいため京都議定書で削減対象に挙げられており、またEU(欧州連合)でも規制の動きがあることから、ODPがゼロでありかつGWPの小さい新たな冷媒の開発に着手する動きがあります。ただし、毒性,燃性の確認等課題が多く、実用化までには時間がかかるものと思われます。
また、自然冷媒利用の機器開発も進められており、既にCO₂を冷媒利用するヒートポンプ給湯機やアンモニアを冷媒利用する冷凍機も一部で実用化されています。
一方、市場にはCFC, HCFC,HFCを使用した冷凍機・空調機が多数稼働しており、地球環境保護のために、これらの機器の修理及び廃棄時には、法律に定められたルールどおりに正しく回収・再生・破壊を行うことが必要です。

 

   わが国の冷媒規制の現状と対応
   

 

 

各冷媒の特徴

種類

冷凍機用の主な冷媒

ODP GWP
CFC

CFC11、CFC12、CFC113、CFC114、CFC115等

および、これらの混合冷媒

0.6〜1.0 4,600〜10,600
HCFC

HCFC123、HCFC22等

 

0.02〜0.055 120〜2,400
HFC HFC134a、HFC152a、HFC32、HFC143a、HFC125等、およびこれらの混合冷媒 0 1,300〜3,800

 

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