エレクトロヒートNo.164 | 日本エレクトロヒートセンター

エレクトロヒート No.164 

巻頭言
 
 

有限責任中間法人日本エレクトロヒートセンター
特別会員 山本 明夫

【特集】殺菌・洗浄における電気加熱・冷却の適用
 
 

山田 満之(やまだ みつゆき)共同組合新食研 専務理事

本稿では、微生物と殺菌に関して詳述し、衛生管理の考え方を検討する。はじめに微生物の起源や分類などに触れ、その特性などから食中毒との関係についての考察を行っている。また、食中毒に関する情報を示し、その予防法を紹介している。さらに食中毒予防に欠かせない殺菌剤の種類と特性を具体的に説明し、さまざまな応用現場での殺菌に対する捕らえ方の違いにも触れている。最後に、殺菌とはどうあるべきかを訴えて、微生物と人間が共生関係にあると締めくくっている。

 

 

辻 康広(つじ やすひろ)(株)協和機設 常務取締役

微細気泡の技術の一つで、近年注目を浴びているのが《ナノバブル》である。しかし、用途技術が確立せず、名前だけが一人歩きをしているのも事実である。十数年前に発表され、現在も多くのメーカーから発生器として販売されているマイクロバブルでさえ、未だ迷走を続けている。世に出てきて十年以上経っているのにも関わらず、用途先が一部の業界のみで、産業界からは、「使ってみたが効果がない」などの声が多い。ナノバブルも、もしかすると非常に扱いずらいものなのかと思われる方が多いと思うが、決してそうではない。まず、発生原理、どういった泡なのか、使用方法はなど、弊社が三年間、各業界と連携しナノバブルが起こしてきた現象を紹介する。

 

 

星野 貴(ほしの たかし)(株)フロンティアエンジニアリング 常務取締役

ジュール加熱装置は、従来の加熱方式とは異なり、蒸気や熱水、油等の熱媒を使用せず、食品に直接電気を流し、食品そのものを電気抵抗体とする事で、短時間で均一に加熱する事ができる。ジュール加熱では、食品に流した電気が、電気エネルギーとして食品内部にて全て熱エネルギーに変換される為、熱ロスがなく非常に効率的であり、前述の様に熱媒を使用しない為、装置からの放熱や油・煙・蒸気漏れ等がなく、非常にクリーンで衛生的な加熱が行なえる。

 

 

木下 忍(きのした しのぶ)岩崎電気(株) 技術研究所

食の安全、医療の安全などが叫ばれている昨今、微生物の危害対策の一つとして紫外線(UV)殺菌技術を紹介する。UV殺菌技術は短時間処理、コンパクト、安価、操作が簡単、環境にやさしいなどの多くの特長を利用して実用化されている。UV殺菌は微生物の細胞に対する光化学反応を利用したものであり、殺菌に有効な光(UV)を照射することがポイントである。そこでUV殺菌の基礎とその光源について解説し、その光源を搭載した装置として、空気殺菌装置、表面殺菌装置、流水殺菌装置などを解説する。
本解説により多くの読者にUV殺菌の特徴を知ってもらうことで、読者の方々に取り扱いの容易な本殺菌技術を有益に利用いただけると思う。

 

 

鈴木 実 (すずき みのる)(株)オシキリ 研究開発部 取締役部長
山口 聡 (やまぐち さとし)(株)オシキリ 研究開発部 開発課 課長
村中 恒男(むらなか つねお)(株)オシキリ 研究開発部 開発課 研究主任

我々がスーパーやコンビニエンスストアなどで食品を購入する場合、まず安全性が確保されていることを前提としている。即ち、食品が農薬や化学物質に汚染されていないか…? 微生物に汚染されて増殖・腐敗していないか…? 虫や毛髪などの異物が混入していないか…?などが問われることになる。流通業界は、これらの条件を満たした食品の供給を食品製造業者などに求めることになる。本稿では、この「食の安全」確保の一翼を担う観点から、安全で衛生的な食品供給を確保するためにマイクロ波加熱を利用した「殺菌・防黴・殺虫」処理について記述する。内容はマイクロ波加熱の概要、利用されている加熱装置・各種応用機器、食品の殺菌方法、マイクロ波加熱処理による「食品・食材の殺菌・防黴・殺虫」処理の幾つかの具体例について説明する。

 

 

植村 邦彦(うえむら くにひこ)

(独)農研機構 食品総合研究所 食品工学研究領域 先端加工技術ユニット長

筆者らは、食品中の不要な微生物を殺菌し、安全性を高めるために、交流高電界と呼ばれる方法を開発した。交流高電界は、食品の電気的加熱方法の一つとして知られている通電加熱(ジュール加熱)に用いられる電界を100倍以上に高めることにより、微生物の細胞膜を物理的に破壊することや、急速加熱によるヒートショックで微生物の熱による殺菌速度を早める効果が得られている。また、交流高電界技術は果汁等の液状食品の殺菌に好適であり、導入コストが低く、連続・大量処理が可能なことから、飲料メーカーから注目されている技術である。ここでは、交流高電界による殺菌の基礎から応用まで簡単に紹介する。

 

 

宮坂 隆美(みやさか たかみ) サクラ精機(株) 洗浄滅菌事業本部 副本部長

日本では国民健康保険制度が整備されており、私達(患者)が長い待ち時間が苦にならなければ、殆どの大学/大病院、有名病院等に自由に診察を受けに行けますが、そういう国は他にはありません。アメリカでは約7,000万の人々が健康保険に入っていませんし、先進国の多くは自分の住む地域の開業医(ホームドクター)に掛かり、その医師が紹介状を書かない限り上位の病院へは行けません。国内では特に産婦人科、救命緊急医療センターや、小児科、麻酔科等での医師不足等が騒がれていますが、決して国内の医師不足ではありません。何故ならば医科系大学が81校、歯科(口腔外科含)系大学が23校あり全体的に医師数は増加傾向です。ただ、近年では医師免許合格者の約30%が女性です、同業(医者)者と結婚する機会が多い女医さんが、産休や子育て休暇に入っているかも知れませんし、高利益/リスクレスの診療科(開業医含)の増、国立大学の独立法人化/研修医制度の歪、過疎地勤務義務がある医科大学卒の医者の拒否等から、医療インフラは都市部に集中し、地方で欠落(陥)している「医師の偏在」が現状です。例としては公立病院973の内約74%の721病院が赤字経営で、これら公立病院の閉鎖が地方特に過疎地で大きな問題になっています。反面、歯科医院は平成20年度で約67,000施設もあり過当競争の業界です。何故ならばコンビニが約55,000店舗あり何所でも目にしますが、コンビニ以上ある歯科医院の一部には「集客」に苦労しています。本稿では弊社が関係する医療関連機器の内、特に「蒸気滅菌装置関連」を中心に、オール電化病院には欠かせない「スチームセル/蓄熱式蒸気発生装置」を紹介します。
※「スチームセル」はサクラブランド商品名で意匠登録済みです。又、「蓄熱装置+蒸気発生装置+滅菌装置のセット」で包括特許を取得しています。

 

 

 

広川 載泰(ひろかわ としやす) 髙橋金属(株) 環境商品事業部 研究開発所長

産業用水系洗浄装置の排気には多くの熱が含まれているが、現状では利用されること無く屋外に排出されている。ヒートポンプを利用してこの熱を洗浄水の加熱に再利用することができれば排熱の有効利用となり大きな省エネルギー効果が期待できる。今回、水系洗浄装置の排熱利用を目的とした「ヒートポンプ式排気熱再利用装置」を開発し、実際に水系洗浄装置に設置した事例を紹介する。温水温度55℃、排気温度40~45℃の洗浄装置で稼動させたところ、洗浄水の加熱に消費する平均エネルギーの50%に当たる20kWを削減することができた。また、温水温度が45~50℃の範囲では更にヒートポンプの効率が向上し、削減エネルギー量も増大した。以上のように、ヒートポンプ式排気熱再利用装置が水系洗浄装置の省エネルギー化に有効であることが確認できた。

 

 

加藤 重夫(かとう しげお) 富士電機E&C(株) 技術本部 新事業推進部 主幹

FUJI スチームライザー(蒸気洗浄・除菌装置)の概要
[スチームライザー]は、元々食品加工の現場から出た要望で開発を進めた品物である。(小型で移動型、除菌・洗浄効果の大きい蒸気容量・蒸気温度、ガス・石油を使わない、多量の排水が出ない、臭い・化学変化が起きない)除菌・洗浄能力と形状構成は、開発段階のフィールドテストで充分検討されて来た。現在に至って、その洗浄効果から金属又は、樹脂加工品の表面油膜洗浄にも注目を浴びている。

[スチームライザー]の特徴
1) 消毒・洗浄には、軟水ろ過された少量の水だけを使用する(約300cc/分)。
2) 電気ボイラーの為、燃焼ガスが出ず、無煙、無臭、無害。
3) 過熱蒸気 (除菌用100~270℃で自在に設定可)と 飽和蒸気 (洗浄用100℃) が用途に合わせ使い分けが出来る。
4) 洗浄力を高める為、噴射蒸気への水分増量調整機能(加水装置)を備えている。
* 蒸気と液滴によるキャビテーション現象により、洗浄効果が大幅にアップする。
5) 高温蒸気を噴射する耐熱フレキシブルホースは (標準:3m) 手で持っても熱くなく、作業の操作性・安全性が優れている。
6) 安衛法上のボイラー分類に適合しないので取り扱い免許・資格は不要。
数々の食品加工現場と (精肉、魚介、惣菜、パン、菓子、鶏卵 等) 金属加工現場(メッキ、塗装 等)で実演をおこない、多くのお客様より好評を得ている。

 

 

三島 隆一郎(みしま りゅういちろう) 三菱電機(株)群馬製作所 営業部

2008年6月に開催された洞爺湖サミットがさらに追い風となり、世間では環境意識がさらに高まっている。それに比例するかのように、エコキュートへの注目度もますます高まりつつある。エコキュートは、空気の熱を利用してお湯を沸かす次世代給湯機であり、今人気のオール電化商材である。また、CO2排出量を大幅に削減できることから、国もエコキュートの普及を推進している。本稿では、業界で初めて※1当社が開発・発売した、マイクロバブル技術を導入した風呂配管自動洗浄機能「バブルおそうじ」機種を紹介させていただく。 ※1:2008年3月現在(当社調べ)

 

 

陶山 浩二(すやま こうじ)ホシザキ電機(株) 技術管理部 課長代理

「良い製品は良い環境から」という企業理念から環境に配慮した新型業務用食器洗浄機JWE-680Aを開発した。この製品は「節水」をキーポイントにして省エネ、高性能、衛生面を高い次元で実現した。その結果、従来機に比べ約47.4%水道代をカットし、洗剤量は73.7%カット、ガス代・電気代を含めたランニングコストでは約44.8%カットとなり、自然にやさしい低環境負荷型製品を実現した。

ヒートポンプ給湯講座
 
 

Q研技術士事務所 杉村 允生

 

特別寄稿
 

片倉 正行(かたくら まさゆき)日清エンジニアリング(株) 開発営業担当顧問

日清エンジニアリング(株)は、粉粒体等食品に対して安全な熱媒体である過熱水蒸気が持つ特性を利用した熱処理装置の開発を行ってきた。この装置は過熱水蒸気加熱と併用して、熱処理炉の回転筒に高周波誘導加熱を応用し、回転筒内面への過熱水蒸気の凝縮を防止しながら、100℃以下の原料と過熱水蒸気が接触することによって発生する原料表面への凝縮熱の加熱特性を生かす連続式粉体加熱処理装置ハイブリッドキルンを開発した。高周波誘導加熱と過熱水蒸気のハイブリッド化によって、伝熱の基本である伝導、輻射、対流、凝縮伝熱を総合的に利用出来、過熱水蒸気処理の雰囲気が無酸素に近い状態であることによって、食品等の熱処理分野で新たな市場を切り開く可能性がある。当社では少量の熱処理サンプルの製造が可能である小型のバッチ式熱処理装置「ハイブリッドキルンmini」を新たに開発しており、ハイブリッドキルンと合せて装置の紹介をする。

 

会員紹介
 
 

中野 幸夫(なかの ゆきお)(財)電力中央研究所 システム技術研究所 需要家システム領域リーダー

財団法人 電力中央研究所における研究活動のうち、日本エレクトロヒートセンターと関わりの深い電気利用や需要家部門に関する活動の経緯に触れ、研究の柱の一つ「最適エネルギー利用技術」に属する五つのプロジェクト課題(「エネルギー利用支援」、「新型エコキュートの運用性能評価」、「SiCデバイスによるインバータ」、「SiCパワー半導体」、「小型二次電池利用」)の最近の成果あるいは進捗状況を紹介している。